王子のクソあだ名に振り回される18歳攻撃手の話
得意技は全集中杉の呼吸
基本苗字かスギノール呼びされるから名前変換のしようがないのでぼちぼちここで上げていって最終的にサイトに上げる……
私、杉野まどり! ごはん大好き十八歳! ソフトボールの練習とボーダー隊員としての活動で毎日大忙し! だけど、ごはんを食べれば元気百倍へっちゃらだよ!
嫌なことがあってもおいしいごはんを食べて、一晩寝れば大概忘れる私だけど、ひとつだけ、許し難いことがあって……
「やあ、スギノール。今日も独り言かい?」
「独り言とか言ってないんだけど! 王子くんが私の心読んでるだけだから!」
この、王子くんが私のことをスギノールと呼んでくるのだ。スギノールという割と語感のいいあだ名のせいでみんな気軽に呼んでくる。そこまではいい。
個人ランク戦では主に某荒船くんに「左で斬れや」と煽られて、左手に弧月を持って戦う羽目になるし、球技大会のソフトボールではピッチャーから「左で打てや」と煽られる始末である。そんなこと言われたら、左で打つしかない。
どっちもできるからいいんだけど、日々、某野球選手みたいに左で煽られるのはなかなかつらいものがある。
「っていうわけなんだよ。わかった?」
「どういうことだい?」
「いや、都合よく読めなくなるな」
王子くん、黙ってればイケメンなのにクソみたいなあだ名をつけるせいで私は苦手だ。他のみんなは平気みたいで、水上くんなんて、みずかみんぐとかいうクソみたいなあだ名つけられてるのに平然としているし、穂刈くんに至ってはポカリが本名みたいな顔してる。王子くんにジャクソンと呼ばれて、すごく嫌そうな顔をしている二年の若村くんを見習ってほしい。
「私、王子くんがつけたスギノールってあだ名のせいで左で斬れとか左で打てとか言われて煽られるの。正直迷惑なんだよ……。王子くんはどういう気持ちでスギノールなんであだ名をつけたの?」
「うーん……あだ名をつけるときはあんまり考えてないんだよね。直感、かな?」
「はあ?! 直感?! 王子くんのくだらない直感で私は左煽りされるようになったの? ふざけないでよ!」
「くだらないはひどいなあ」
思わず私は王子くんの胸ぐらを掴んでいた。そんなふざけた理由で左煽りに恐怖心を抱く羽目になってたなんてひどいにも程がある。
「ちょちょちょ! 杉野ちゃん、抑えて抑えて!」
私の蛮行を見たゾエくんが慌てて止めに入ってきた。チッ、命拾いしたな……王子くん。そんなことを考えながら、仕方なく王子くんの胸ぐらから手を離す。
「何があったの?」
「王子くんがまた、スギノールって呼んでくるから……」
「もー、ダメだよ。杉野ちゃん嫌がってるんだから」
ゾエくんが困ったように口を尖らせる。私がスギノールというあだ名を嫌がっていることを理解してくれてるからゾエくんは好きだ。煽ってくる某荒船哲次くんとは大違いである。
「スギノール……スギノールは嫌だった?」
「嫌って何回も言ってるんだけど」
「スギノール、ぼくは好きなんだけど」
「いや、呼ばれてる私が嫌がってるんだけど?」
ダメだこいつとは話が通じない。思わず、大きなため息を吐く。
「胸ぐら掴んでごめんね、王子くん。私、そろそろ防衛任務だから……」
とりあえず、胸ぐらを掴んだことは謝っておく。
「スギノール」
「王子、それ神経逆なでするよ……?」
「じきにスギノールはこの名前を気に入るよ。きっとね」
なんなんだ、その根拠のない自信……。私は王子くんに何を返すこともなく防衛任務に向かった。
